今年最初の映画・頭の中が蜂蜜みたい!Honig im Kopf

年明けに映画を見た。タイトルはHonig im Kopf (頭の中が蜂蜜みたいとでも訳そうか)
内容は、アルツハイマーのおじいちゃんを取り巻く家族の物語。

普段あまり映画館には行かない私だが、冬は日が暮れるのが早いので、
見に行く頻度が多くなる。

義弟に進められたこの映画、テーマはアルツハイマー・認知症と聞いて尻ごみした。

重いテーマなので、新年早々どうかと思ったが、大笑いしたという感想を聞き、
「笑う門に福がやってくる」と思い、やっぱり行くことにした。

笑いと感動、涙の溢れるシーンが多々あり、久しぶりに心温まる映画を見たと思った。
是非お勧めしたい。

アルツハイマーのおじいちゃんに家族が振り回される中で、
最終的には、心も体も離れ離れだったおじいちゃんの息子夫婦がよりを戻し、
ハッピーエンドなのだが、それも一重に11才の孫娘の突拍子もない行動のおかげだ。

この映画の監督、そして父親Nikoを演じたTil Schweigerは、
この映画を通してアルツハイマー患者を抱える家族に勇気を与えたいという。
患者とどう向き合うか、家族とはなど深く深く考えさせられた内容だ。

この映画の女流脚本家Hilly Martinekの父親が、
アルツハイマーで他界した背景もあり、
現実味を帯びたシーンがたくさんあった。

確かにドイツにはおよそ140万人のアルツハイマー患者がいるといわれる。
という事は、親戚に、家族に、隣人に・・・と身近に一人や二人の患者がおり、
日々介護をする人たちもたくさんいるわけだ。

映画のタイトルHonig im Kopfは、アルツハイマー症状が進んでいくおじいちゃんの言った
「頭の中が蜂蜜みたい」に由来している。

なぜ蜂蜜なのかは不明だが、とにかくおじいちゃんはこう答えた。

おじいちゃんの症状がひどくなり、一人暮らしはまずいだろうということで、息子Nikoが引き取る。
おじいちゃんの行動に顔をしかめ、ヒステリーになる嫁Sarahは、
義父の奇怪な挙動に対し、我慢も限界になり、Nikoと口論が絶えない。
しかも仕事を持つSarahは、上司との浮気という秘め事もある。

獣医だった父の変貌する言動にどう対応したらいいのかわからないまま、
それでも何とかありのままの父を受け入れようと勤めるNiko.

孫娘Tildaは、おじいちゃんの言動におおらかな対応で、
諭すようにひとつひとつ丁寧におじいちゃんに説明する。
とにかくおじいちゃんの話に耳を傾け真剣に対応している孫娘なのだ。

Nikoは、父をアルツハイマー患者のホームへ入居させるしかないと思い始める。

おじいちゃんが大好きなTildaは、おじいちゃんをアルツハイマー患者ホームへ
入れるなんてもっての他と反抗する。

そこで、Tildaは、おじいちゃんとおばあちゃんが出会った街ベネチアへ
二人だけで出かけようと目論む。映画では、おばあちゃんはすでに他界している。
そして、おじいちゃんと孫娘のベネチアまでの旅が始まる。

最終的には、目的地ベネチアにたどり着いたのだが、
そこでおじいちゃんの病状が悪化して孫娘のTildaが誰なのか分からなくなってしまう。

悲しみにくれ、どうしていいかわからず、涙ながらに走り出すTildaは、
二人を探しにやはりベネチアにやってきたパパNikoとママSarahに出くわす。

その後、Sarahは仕事をやめて、主婦として娘と義父の世話をする。
かってのぎすぎすした生活はそこにはもうなく、笑顔一杯の家族生活を始めた。

おじいちゃんはしばらく平穏な暮らしを息子家族と送り、他界する。

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孫娘を演じたのは、Emma Schweiger。11才とは思えない好演で、
将来、きっと役者として大きな花を咲かせるに違いない!

Emmaは、今回監督と息子役Nikoを演ずるTil Schweigerの実の娘だ。

また、おじいちゃんAmandusを演じたDieter Hallervorden は、
もともとコミック関係の役者で舞台に立つことが多い。

彼は、この役を演じるために、わざわざアルツハイマー患者のホームに1週間滞在したそうだ。

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ドイツも日本と同様、少子高齢化が進んでいる。

昨年、『連合』7月号に「20周年を迎えたドイツの介護保険制度」について
執筆したが、今後も要介護者、そして介護をする家族の抱える問題は、尽きないだろう。
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